塩田平を囲む山なみの西方にそびえる夫神岳のふもとに、この地方の古い歴史とともに、絶えまなく湧き続けて来たのが別所の温泉である。この自然の出湯と人とのかかわりは、夫神岳の麓から古代の布目瓦が多数発掘されたことによっても、その古さが想像される。
国造や国府の所在していた古代から、庶民の安息療養の場所であり、また温泉の効能と医薬信仰が、やがて仏教の霊場としての北向観音堂となったであろう。
別所の温泉は昔から"七久里の湯"と呼ばれたといわれ、平安時代の有名な和歌集にもその名をとどめている。
鎌倉時代には北条氏の居館塩田城にも近いので北条一族が好んで来湯することも多かったと想像される。国宝八角三重塔のある名刹安楽禅寺は北条氏の開基によるところから、別所という地名は北条氏の別荘の意であるとも言われている。
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